お客様のすてきなわがまま10選

畳納品事例

「畳でこんなことできないでしょうか」。こんなふうにお問い合わせをいただいたら、前田畳製作所ではよっぽどの無理難題でない限り、まずはお話を伺っています。なんとかできそう!そう判断したらそこからは試行錯誤の連続。時には大工さんと連携したり、時には昔の技術を蘇らせたり。そして最後に形になって喜んでいただければ、畳屋としてはうれしいかぎりです。そんな、お客様の”すてきな”わがまま、集めてみました。

No.01:「子供部屋の天井裏に走り回れる空間をつくりたい」

「家を増築し子供の部屋を設け、そこには運動もできる柔道畳を敷こうと思っています」というお客様。何度もお話をし、設計士さんや大工さんとも打合せをさせていただきました。収納のようなフタを開けると階下へのハシゴ。そのハシゴは2か所あり、降りるとそれぞれの子供部屋に。逆から言うと、自分基地の天井を開けると運動もできる開放的な空間!うらやましい!

部屋の位置によって畳の厚みが違う、柱がある、フタを持ち上げる取っ手のまわりも工夫が必要と、畳屋としての腕の見せ所が満載の空間。段差なくクッション性もできる限り違いがないように作っていくのは悩ましいの連続でしたが、ひとつずつ解決してお父さんにとっても夢の空間を一緒につくれたのは私たちにとっても喜びとなりました。

(西宮市甲陽園)

No.02「海の家に敷く、濡れても大丈夫な畳が欲しい」

海の家の座敷はおおよそペラペラのゴザが敷いてあるだけなので、ゆっくり寛いでもらうためには畳にしたい。でも、海に入ったあとに畳に上がると濡れてしまう。濡れても大丈夫な畳はありませんか?というご要望でした。

それならば、洗える畳にしましょう、身体について上がってくる砂も一緒に洗えますよ、と洗える畳を納品。海の家でお客様に寛いでいただくのはもちろん、ヨガのレッスンなどにも活用していただきました。

(神戸市須磨区)

No.03「DIYで仕上げた家にどうしても置きたい畳のベンチ」

一戸建てを購入され、DIYでリフォームをされたお客様。天然素材の床も壁も天井も、カーポートたコンクリートまで、何年もかけて少しずつご夫婦でDIYをしてきたそうです。「和室を床張りのリビングにしたのですがやっぱり畳が欲しくて。椅子をつくったんです。後は畳を入れるだけなんですが、1枚だけですがいいですか?」畳が欲しいとおっしゃってくれるお気持ちも嬉しい!「もちろん喜んで!」とお答えしました。

(三木市)

No.04「亡くなった母を迎えるために明日までに畳をきれいにしてほしい」

夕刻、そろそろお店を閉めようとしていると玄関のドアが開き、「母が亡くなり明日の朝に家に戻ってきます、それまでに表替えをしてもらえますか?5年くらい前に表替えしてもらったのでまだキレイなのですが、母は畳が好きだったので」というお客様。「もちろんです、きれいな畳で迎えてあげてください」と夕方に畳を預かり夜間に表替え、朝一番で畳を納めさせていただきました。夜通しで作業をした職人たち、みんなに夜食を買ってきてくれていた事務員さん。最近はこういった機会も減ってきましたが、畳店としての役割を再認識させていただきました。

(西宮市甲風園)

写真は施工前のもの

No.05「和室の隣のリビングも畳にしてバリアフリーに」

和室とリビングが隣り合わせのおうち。リビングに畳を設置されました。敷居の高さに合わせたので高さも一定のバリアフリー。次は廊下も畳敷きにされる予定です。ドアの開閉部分は検討が必要ということで、まずはフローリングのままで様子をみることになりました。

No.06「外せない畳に縁をつけたい」

新築時に造られた宙に浮くお茶室。設計士さんのお勧めで縁なし畳で施工されたのですが、お茶の稽古に使用するにあたってやはり縁がないのがどうしても気になり、畳に縁を付けてほしい、というご依頼でした。

簡単なことだと思っていたのですが、実際に見せていただくと、お茶室が宙に浮いており、畳の裏側も畳表が巻かれていて、下から見ても畳。新築時に納められた畳はベッタリ糊付けされていて畳表が外れない状態でした。

通常の畳の作り方では作れない…と試行錯誤。本来畳の縁は、畳の端にくるものですが、畳の中心を横断するように縁をつけることに。現在貼りついている畳表を少しだけなんとか浮かせながら“まがり針“を使用しながら、少しずつ縁を縫い付けていきました。写真で完成形を見ると簡単そうに見えますが、畳屋にしかわからない難しさがある現場でしたがなんとかうまくいきました。

No.07「卒業生制作で畳の椅子をつくりたい」

神戸芸術工科大学の4回生の学生が卒業制作に畳の椅子を作りたいとお店に相談に来られました。製作する際のイ草の特性などを説明して、畳表を提供させていただきました。無事、仕上がったとのことで、卒業展示にもお邪魔して実際に座らせてもらいました。

No.08「カーペットで営業してたけど、やっぱり畳を諦めきれない」

このお店を始めるにあたり床は畳にしたいという思いでしたが、畳だとカウンターの高さを考えると足を入れる空間が狭くなる。また壁が斜めであったり、階段式になっていたり、変形箇所がたくさんあり、畳での施工はできないと工務店さんに言われたそうで、それからずっとカーペットを敷いて営業していたそうですが、どうしても畳があきらめきれず弊社に問合せいただいたそうです。

「まさかの『やってみましょう』という返事をもらって、それだけでも嬉しかったです」とおっしゃっていただきました。施工については、畳は極力薄く仕上げ、カウンターとのスペースを確保。変形箇所もしっかり採寸しきっちり施工できました。畳寄せ(木枠)を入れることができないので、畳が動かないように裏面はノンスリップ加工をさせていただきました。「やっぱり和食には畳ですね!」と女将さんに大満足していただきました。

No.09「丸い畳がほしい!」

ご覧の通り、丸い畳を納品させていただきました。「変わったことがしてみたい、まずはそんな遊び心から設計士さんにダメ元でお願いしました。『やってくれる畳屋さんを探してみます』のお返事を待ったところ、見つけてもらえました」。と施主さん。形も気に入っていますが、丸く座れるってカドがとれていいものです。

No.10「玄関も廊下も畳にしたい」

「年をとって、スリッパを履いたり脱いだりするのも億劫だし、スリッパだとつまずきやすくなってきたんです。廊下も裸足だと冷たいし、畳にしてほしい」というお客様。玄関、廊下を畳敷きにさせていただきました。

昔ながらの家なのでリビング以外は和室ばかり。「あとはリビングも畳にしてもらえばスリッパ要らずで危険がなくなります」とおっしゃっていただき、畳屋としてはとても嬉しいお仕事をさせていただきました。